第7章 パッケージ化、そして…

目次

7.1. バグ報告
7.1.1. 一度に大量のバグを報告するには (mass bug filing)
7.1.1.1. Usertag
7.2. 品質維持の努力
7.2.1. 日々の作業
7.2.2. バグ潰しパーティ (BSP)
7.3. 他のメンテナに連絡を取る
7.4. 活動的でない、あるいは連絡が取れないメンテナに対応する
7.5. Debian 開発者候補に対応する
7.5.1. パッケージのスポンサーを行う
7.5.1.1. 新しいパッケージのスポンサーを行う
7.5.1.2. 既存パッケージの更新をスポンサーする
7.5.2. 新たな開発者を支持する (advocate)
7.5.3. 新規メンテナ申請 (new maintainer applications) を取り扱う

Debian は、単にソフトウェアのパッケージを作ってメンテナンスをしているだけではありません。この章では、単にパッケージを作ってメンテナンスする以外で Debian へ協力・貢献するやり方、多くの場合とても重要となるやり方の情報を取り扱います。

ボランティア組織の例にたがわず、Debian の活動はメンバーが何をしたいのか、時間を割くのに最も重大だと思われることが何か、というメンバーの判断に依っています。

我々としては、Debian パッケージで見つけたバグを登録することを勧めています。実際のところ、大抵の場合は Debian 開発者が第一線でのテスト作業者となっています。他の開発者のパッケージで見つけたバグを報告することで Debian の品質が向上されています。

Debian バグ追跡システム (BTS)バグ報告のやり方について (instructions for reporting bugs) を参照してください。

いつも使っているメールを受け取れるユーザアカウントからバグを送ってみてください。そうすることで、開発者がそのバグに関するより詳細な情報を必要とする場合にあなたに尋ねることができます。root ユーザでバグを報告しないでください。

バグを報告するには、reportbug(1) のようなツールが使えます。これによって作業を自動化し、かなり簡単なものにできます。

パッケージに対して既にバグが報告されていないことを確認しておいてください。個々のパッケージに対するバグのリストは https://bugs.debian.org/パッケージ名 にて簡単に確認できます。querybts(1) のようなユーティリティでもこの情報を入手できます (なお、reportbug では大抵の場合、バグを送信する前に querybts の実行も行っています)。

正しい所にバグを報告する様に心がけてください。例えばあるパッケージが他のパッケージのファイルを上書きしてしまうバグの場合ですが、バグ報告が重複して登録されるのを避けるため、これらのパッケージの両方のバグリストを確認してください。

さらに言うと、他のパッケージについても、何度も報告されているバグをマージしたり既に修正されているバグに「fixed」タグをつけたりすることもできます。そのバグの報告者であったりパッケージメンテナではない場合は (メンテナから許可をもらっていなければ)、実際にバグをクローズしてはいけないことに注意してください。

時折、あなたが登録したバグ報告について何が起こっているのかをチェックしたくなることでしょう。これは、もう再現できないものをクローズするきっかけになります。報告した全てのバグ報告を確認するには、https://bugs.debian.org/from:your-email-addr を参照すればいいだけです。

大量の異なるパッケージに対して、同じ問題についての非常に多くのバグ (例えば 10 個以上) を報告するのは、推奨されていないやり方です。不要なバグ報告を避けるため、可能な限りの手続きを踏むようにしましょう。例えば、問題の確認を自動化できる場合は lintian に新しくチェック項目を追加すれば、エラーや警告が明確になります。

同じ問題について一度に 10 個以上のバグを報告する場合は、バグ報告を登録する前に へ送ることをお勧めします。バグ報告を送る前に注意点を記述し、メールのサブジェクトに事実を挙げておきます。これで他の開発者がそのバグが本当に問題であるかどうかを確認できるようになります。さらに、これによって複数のメンテナが平行して同じバグ報告を登録するのを防止できるようになります。

dd-list プログラムを利用することと、明確になっているのであれば影響を受けるパッケージのリストを (devscripts パッケージの) whodepends を使って出力して、 へのメールに含めて下さい。

同じサブジェクトで大量のバグを送信する際は、バグ報告がバグ情報用メーリングリストへ転送されないように  へバグ報告を送るべきであるの注意してください。

品質保証に割り当てられたグループの人々がいたとしても、QA 作業は彼らのみに課せられるものではありません。あなたもパッケージを可能な限りバグが無いように保ち、できるだけ lintian clean な状態 (lintian を参照) にすることで品質保証の作業に参加することができるのです。それが可能ではないように思えるなら、パッケージをいくつか「放棄 (orphan)」してください (「パッケージを放棄する」 参照)。または、溜まったバグ処理に追いつくため、他の人々に助力を願い出ることも可能です ( で助けを求めることができます)。同時に共同メンテナ (co-maintainer) を探すことも可能です (「共同メンテナンス」 を参照してください)。

時折、QA グループは可能な限りの問題を無くすためにバグ潰しパーティ (BSP) を開催しています。開催案内は で行われ、パーティがどの部分に集中して行われるのかが告知されます。大抵はリリースクリティカルバグ (RC) への対応に当てられますが、大きなアップグレード (新しい perl バージョンでの全バイナリモジュールを再コンパイルのような) を完了する手助けのために開かれることもあります。

メンテナ以外によるアップロード (non-maintainer upload) のルールはパーティの開催中とそれ以外で違います。これは、パーティのアナウンスは NMU の予告であると考えられているためです。パーティによって影響を受けるパッケージを持っている場合 (例えばリリースクリティカルバグを持っている場合) は、それぞれ対応するバグについて現状説明とこのパーティでどの様なことを期待しているのかを説明しないといけません。NMU を望まない、パッチでの対応にのみ興味がある、あるいは自分自身で対処をする予定の場合は、BTS で説明をしてください。

パーティに参加している人には NMU についての特別ルールが割り当てられます。NMU について、少なくとも 3 日遅延してアップロードを行う場合 (DELAYED/3-day キューなどへのアップロードの場合) は予告無しで NMU できるのです。他の NMU ルールは全て通常通りに適用されます - NMU のパッチを BTS に送付する必要があります (修正されていないバグのいずれかを NMU で修正する、あるいは新たなバグにパッチを送り、fixed とタグを付けるなど)。それから、作業者は各メンテナの要望に沿う必要があります。

NMU をする自信が無い場合は、BTS へパッチを投げるだけにしてください。NMU でパッケージを壊してしまうより、遥かに良いことです。

Debian と共に過ごす間、様々な理由で他のメンテナに連絡を取りたくなることでしょう。関連パッケージ間での共同作業の新たなやり方について協議したい場合や、開発元で自分が使いたい新しいバージョンが利用可能になっていることを単に知らせたい場合などです。

パッケージメンテナのメールアドレスを探しだすのは骨が折れます。幸いな事に、パッケージ名@packages.debian.org というシンプルなメールのエイリアスがあり、メンテナらの個人アドレスが何であれメンテナへメールを届ける手段となっています。パッケージ名 はパッケージのソース名かバイナリパッケージ名に置き換えてください。

「パッケージ追跡システム」 経由でソースパッケージの購読を行っている人に連絡を取りたくなるかもしれません。その場合は パッケージ名@packages.qa.debian.org メールアドレスが使えます。

パッケージがメンテナンスされていないと気づいた場合、メンテナが活動的でパッケージの作業を続けるかどうかを確認する必要があります。もはや活動的な状態ではない可能性もありますが、言わばシステムに登録していなかったという可能性もあります。あるいは、単に確認が必要なだけという可能性もあります。

Missing In Action (行方不明) だと考えられているメンテナについての情報が記録されるシンプルなシステム (MIA データベース) があります。品質保証グループ (QA グループ) のメンバーが活動的ではないメンテナに連絡を取った場合や、そのメンテナについて新たな情報がもたらされた場合、その記録が MIA データベースに残されます。このシステムは qa.debian.org ホスト上の /org/qa.debian.org/mia で利用可能になっており、mia-query ツールで検索ができます。どうやってデータベースを検索するのかについては mia-query --help と入力してください。活動的ではないメンテナについての情報がまだ記録されていない、あるいはそのメンテナについての情報を追加できる場合は、おおよそ以下の手続きを行う必要があります。

最初の一歩はメンテナに丁寧にコンタクトを取り、応答するのに充分な時間待つことです。充分な時間というのを定義するのは非常に困難ですが、実生活では時折非常に多忙になるのを考慮に入れると重要なことです。一つのやり方としては、リマインダーを二週間後に送るという方法があります。

メンテナが4週間 (1ヶ月)応答をしない場合、おそらく反応がないと判断できます。この様な場合はより詳細に確認し、可能な限り問題となっているメンテナに関する有用な情報をかき集める必要があります。これには以下のようなものが含まれています。

  • 開発者 LDAP データベース を通じて得られる echelon 情報は、開発者が最後に Debian メーリングリストに投稿したはいつなのかを示します (これには での配布物のアップロードのメールも含まれます)。また、データベースでメンテナが休暇中かどうかも確認してください

  • このメンテナが対応しているパッケージ数やパッケージの状態。特に、長期間放置され続けている RC バグがあるかどうか? さらに通常どの程度の数のバグがあるか? もう一つの重要な情報はパッケージが NMU されているかどうか、されているとしたら誰によって行われているか、です。

  • Debian 以外でメンテナの活動があるかどうか? 例えば、近頃 Debian 以外のメーリングリストや news グループへの投稿をしているなど。

パッケージがスポンサーされている、つまりメンテナが公式の Debian 開発者ではない場合はちょっとした問題となります。例えば echelon の情報は、スポンサーされている人は利用できません。そのため実際にパッケージをアップロードした Debian 開発者を探して確認を取る必要があります。彼らがパッケージにサインしたということは、アップロードについて何であれ責任を持ち、スポンサーした人に何が起こっているかを知っていそうだということです。

に、活動が見えないメンテナの居所に誰か気づいているかという質問を投稿するのもありです。問題の人を Cc: に入れてください。

ここに書かれた全てを収集したなら、に連絡しましょう。この名前の宛先を担当している人は、あなたが供給した情報を使ってどう進めるかを判断します。例えば、そのメンテナのパッケージの一部または全てを放棄 (Orphan) するかもしれません。パッケージがNMUされていた場合は、パッケージを放棄 (Orphan) する前にNMUをした人に連絡する事を選ぶかもしれません — NMUをした人はきっとパッケージに関心があるでしょうから。

最後に一言: 礼儀正しく振る舞いましょう。我々は所詮ボランティアで、全ての時間を Debian に捧げられるわけではありません。また、関わっている人の状況がわかるわけでもありません。重い病気にかかっているかかもしれないし、あるいは死んでしまっているかもしれません - メッセージを受け取る側にどんな人がいるかは分かりません。亡くなった方のご親戚の方がメールを読んだ場合に、非常に無礼で怒った叱責調のメッセージを見つけてどうお感じになるかを想像してください。

一方で、我々はボランティアではありますが責任を持っています。全体の幸せの重要性をよく考える必要があります — もしメンテナが時間が足りなかったり、もう興味を無くしてしまった場合は、パッケージを誰か他のより時間がある人間に与えるべきです。

MIA チームで働くのに興味を持った場合は、技術上の詳細と MIA の手順が記載されている qa.debian.org 上の /org/qa.debian.org/mia 内の README ファイルを参照して、 に連絡を取ってください。

Debian の成功は新たな才能あるボランティアをどう魅了し確保するかにかかっています。あなたが経験豊かな開発者なら、新たな開発者を呼び込むプロセスに関与するべきです。このセクションでは新たな開発者候補者をどうやって手助けするのかについて記述します。

パッケージのスポンサーになるというのは、自分の権限ではパッケージをアップロードできないメンテナのためにパッケージをアップロードする、ということです。これは些細な問題ではなく、スポンサーはパッケージを精査して Debian が求めるような高いレベルの品質であることを保証する必要があります。

Debian 開発者はパッケージをスポンサーできます。Debian メンテナはできません。

パッケージのスポンサー作業の流れは以下の通りです:

  1. メンテナはソースパッケージ (.dsc) を用意してオンライン上の何処か (例えば mentors.debian.net) に置く、あるいはもっと良いのは、パッケージがメンテナンスされている公開 VCS リポジトリへのリンクを提供することです (「VCS (バージョン管理システム) サーバ」 参照)。

  2. スポンサーはソースパッケージをダウンロード (あるいはチェックアウト) します。

  3. スポンサーはソースパッケージをレビューします。問題を見つけたら、メンテナに知らせて修正版をくれるように尋ねます (作業は step 1 へやり直しされます)。

  4. スポンサーは、何も問題が残っているのを見つけられませんでした。パッケージをビルドし、署名し、Debian へアップロードします。

パッケージのスポンサーのやり方について詳細を詰める前に、提案されたパッケージを追加することが Debian にとって有益であるかどうか、自分自身に問いかける必要があります。

この質問に答えるのは単純ではなく、多くの要因に依っています: 開発元のコードは成熟していて、セキュリティホールの山ではないですか? 同じことができる既存パッケージがありませんか? そしてこの新しいパッケージと比べてどうですか? 新しいパッケージはユーザから要求されたものですか? そしてユーザ数はどの程度の大きさですか? 大本の開発者らはアクティブですか?

それから、メンテナ候補者が良いメンテナになるであろうことを保証する必要があります。他のパッケージでの経験がありますか? そうであれば、良い仕事をしていますか (バグを確認している)? パッケージと使われているプログラミング言語について詳しいですか? そのパッケージに必要なスキルを持っていますか? そうでなければ、学ぶことが可能でしょうか?

候補者が、Debian に対してどの様な態度を取っているかを知るのも良い考えです: Debian の哲学に賛同していて、Debian に参加したいと思っていますか? Debian メンテナになるのがどれくらい簡単なのかを考えて、参加を検討している人たちだけをスポンサーするのが良いでしょう。こうすれば、最初からずっとスポンサーとして行動しなくて良いと思っておけます。

新たなメンテナは、Debian パッケージの作成する際に大抵何らかの困難に会いますーこれは非常に理解できることです。彼らは間違いを犯します。これは、全く新しいパッケージを Debian でスポンサーするのに、Debian パッケージングの徹底的なレビューを受ける必要がある根拠です。時折、パッケージが Debian へアップロードされるのに十分な状態になるまで、複数回のやり取りが必要になることがあります。それゆえ、スポンサーになることは、メンターになることを伴います。

レビューをせずに新しいパッケージのスポンサーをしないでください。ftpmaster による新しいパッケージのレビューは、主にソフトウェアが本当にフリーなものであるかを確認するためです。もちろん、パッケージ化に関する問題に偶然気づくことはありますが、それを期待すべきではありません。アップロードされたパッケージが、Debian フリーソフトウェアガイドラインに適合し、良い品質であるのを保証するのは、あなたの仕事です。

パッケージをビルドし、ソフトウェアのテストを行うのはレビューの一部ではありますが、それだけでは十分ではありません。この章の残りの部分では、レビューでチェックするポイントの一覧を述べます (徹底的なものではありません)。[7]

  • upstream の tarball として提供されているものが、upstream の作者が配布しているものと同じかどうかを確認する (ソースが Debian 用に再パッケージされている場合、修正した tarball を自分自身で生成する)。

  • lintian を実行する (lintian 参照)。多くの一般的な問題を見つけてくれます。lintian の overrides 設定がメンテナによって設定されている場合、完全に問題がないことを確認してください。

  • licensecheck(devscripts の一部) を実行し、debian/copyright が正しく、そして完全な事を確認する。ライセンス問題を探してください (頭に“All rights reserved”とあるファイルや、DFSG に適合しないライセンスがあるなど)。この作業には、grep -ri が助けとなることでしょう。

  • ビルドの依存関係が完全であるのを保証するため、パッケージを pbuilder (やその他類似のツール) でビルドする (pbuilder 参照)。

  • debian/control を査読する: ベストプラクティスに従っている? (debian/control のベストプラクティス」 参照) 依存関係は完璧ですか?

  • debian/rules を査読する: ベストプラクティスに従っている? 改善可能な点がある?

  • メンテナスクリプト (preinst, postinst, prerm, postrm, config) を査読する: 依存関係がインストールされていない時でも動作する? 全てのスクリプトが等羃 (idempotent、すなわち、問題無しに複数回実行できる)?

  • 開発元のファイルに対する変更 (.diff.gzdebian/patches/、あるいは直接 debian tarball に埋め込まれているバイナリファイル) をレビューする。十分な根拠がありますか? (パッチに対し、DEP-3 に沿って) 正しくドキュメント化されている?

  • すべてのファイルについて、そのファイルが何故そこにあるのか、望んでいる結果をもたらすためにそれが正しいやり方かどうかを自身に問いかけてください。メンテナはパッケージ化のベストプラクティスに従っていますか? (6章パッケージ化のベストプラクティス 参照)

  • パッケージをビルドし、インストールし、ソフトウェアを使ってみてください。パッケージを削除 (remove)、及び完全削除 (purge) できることを確認してください。piuparts でテストすると良いかもしれません。

監査で何も問題が見つからなかった場合には、パッケージをビルドして Debian へアップロードすることができます。あなたがメンテナでなかったとしても、スポンサーとして Debian へアップロードされたものへの責任を持つことを覚えておいてください。これが、 「パッケージ追跡システム」 を使ってパッケージを追いかけておくことが推奨される理由です。

changelog ファイルや control ファイルにあなたの名前を入れるために、ソースパッケージを変更する必要はないことに注意してください。control ファイルのMaintainer 欄と changelog にはパッケージ作業を行った人を記載する必要があります。つまりはスポンサー対象者、ということです。そうすることで、メンテナはすべての BTS メールを受け取るようになります。

代わりに、署名にあなたの鍵を使うために dpkg-buildpackage に指示する必要があります。これは -k オプションを使って行います:

dpkg-buildpackage -kKEY-ID

debuilddebsign を使う場合は、~/.devscripts に設定を決め打ちで書いても構いません:

DEBSIGN_KEYID=KEY-ID

通常、パッケージは既に全体的なレビューを受けているとします。ですので、もう一度すべてを行う代わりに、現在のバージョンとメンテナによって準備された新しいバージョンとの差分を注意深く分析することになります。最初のレビューをあなた自身が行っていない場合は、最初のレビュワーがいい加減であった場合に備えて、より子細に確認を行った方が良いかもしれません。

差分を分析する為には両方のバージョンが必要です。ソースパッケージの現在のバージョンをダウンロードし (apt-get source)、リビルドします (あるいは aptitude download で現在のバイナリパッケージをダウンロードします)。それから、スポンサー用のソースパッケージをダウンロードします (通常、dget を使います)。

まず、changelog の新しいエントリを読みます。これで、レビュー中に予期しておく事柄を知ることができます。使うことになる主なツールは debdiff です (devscripts パッケージに含まれています)。2 つのソースパッケージ (.dsc ファイル) に対して実行するか、2 つのバイナリパッケージ、あるいは 2 つの .changes ファイルに対して実行することができます (その場合は .changes に記載されているすべてのバイナリファイルを比較します)。

ソースパッケージを比較した場合 (新しい開発元のバージョンの場合には、例えば debdiff の出力を filterdiff -i '*/debian/*' などとして、開発元のファイルを除外します)、確認したすべての変更点を理解して、この変更点が Debian の changelog に正しく記載されている必要があります。

何も問題がなければ、パッケージをビルドし、ソースパッケージ上の変更が期待していない結果 (ミスのためファイルがなくなっている、依存関係の欠落など) をもたらしていないかを確認するため、バイナリパッケージを比較します。

メンテナが何か重要なことを見逃していないかを確認する為に、パッケージ追跡システム (PTS、「パッケージ追跡システム」 参照) を見るのが良いかもしれません。追加が可能な翻訳の更新が BTS にあるかもしれません。パッケージが NMU されていて、メンテナが NMU での変更をパッケージへ取り入れるのを忘れているかもしれません。リリースクリティカルバグがあって、メンテナが放置しているためにテスト版 (testing) への移行が阻まれているかもしれません。メンテナが何か (より良く) できることを見つけたら、それを伝えましょう。次回に改善ができますし、メンテナは責務についてより深く理解することになります。

何も大きな問題を見つけなければ、新しいバージョンをアップロードします。そうでなければ、メンテナに修正したバージョンをアップロードするよう要請します。



[7] もっと多くのチェック項目について、複数の開発者が持ち寄っているsponsorship checklists で見ることができます。